潜水艦7号

追い詰められる怪異
いわゆる「オカルト現象」は、実在するのかしないのか。 科学・医学が発達していなかった昔は、自分達の知識で説明がつかない事象について妖怪や祟といった解釈に結びつける他なかったでしょう。しかし現代では気象は太陽熱によって発生する空気や水の循環であり、流行り病はウィルスなどの媒介によって発生する事が知られています。 現代は、それだけ『怪異』が幅を効かせにくい環境にあると言えるでしょう。 ですが。 現実にそういう場合に出くわした人間からすると、「それ」は決して単なる気の迷いではなく『あるもの』として実感出来るものです。 それが更に複数の人間によって確認され、拡散されていったら……? 本作は『現代』ならではのSNSやWEB小説といったツールを使うことで、まさに現代らしい『怪異』を演出しています。 有名な江戸の落語に「番町皿屋敷」という、口コミで見学人が増える幽霊の話がありますが、これはその現代版と言えるのかも知れません。 取り憑かれる主人公は、単に追い詰められるだけではなく『負い目』を追われることになります。これが精神を蝕んでいくのです。 ですが、その対抗手段とした最後の望みも……! 絶対絶命に思われた時、それに終止符を打ったものとは。 心を救えるものは心しかないのだと。本作はそう語りかけてくるのです。 そして、ホラーらしい後を引く結末。 それは、幸せな人生を送りたかったという『彼女』の想いが乗り移ったのか。 これを読むと、エレベーターに乗って背後を振り返ることは出来なくなります。 取り憑かれれば、その帰り道は屋上にあるフェンスの向こう側にしか用意されていないと……。
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潜水艦7号さん、丁寧なレビュー嬉しいです。尊敬する立派な作家さんに誉めてもらえるなんて光栄です。ページコメントやスターも有難う御座います。今夜はパーティーです(*´∀`)
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いえいえ、とんでもないです!(><;) パーティに参加出来なくて残念ですね(笑 ( ̄ー ̄)/C□ 乾杯!
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