零(ぜろ)

【ACID 晶の日記】 俺は天才かもしれない。 世紀の発明をしてしまった。 俺が元いた世界には、アイリッシュティーラテというものがあった。それは、ウィスキーとミルクティを混ぜた飲み物だ。 寒くなってきたこの季節、俺はそれが無性に飲みたくなってしまって、俺はこの世界でもアイリッシュティーラテを生み出すべく、酒屋に向かった。 奇跡的にいい感じの香りがするウィスキー(この世界だと、普通に蒸留酒って言うらしい)を見つけて、俺は早速作ってみた。まぁ、ミルクティとウィスキーを混ぜただけなんだけど。 美味い。めっちゃ美味い。 郷愁の味がする…。別にウィスキーなんて日本とか関係ないけれど、前の世界で飲んでいた味に、ちょっとだけ涙が出てきそうになった。もう俺も歳かも知れない。最近ルークが帰ってくるだけでエモさを感じて泣きそうになってしまうんだが。精神がやばい。小さい事に幸せを感じられるって言い換えれば別に良い事なんだろうけれども。 早くルークにもこの感動を共有したくて、帰ってきたルークにも早速飲んでもらった。ルークも味を気に入ってくれたみたいで、「これがアキの世界の飲み物なのか。また作って」って。どうやらアイリッシュティーラテはこの世界にはなかったらしい。これはつまりこの世界では俺が先駆者。天才でしかないな…。 って言ったら、ルークに「元の所にはあったんだろ…」って引かれた。でも俺は思う。こういうのは前向きに考えたもん勝ちだ。この世界になかったのなら俺が開発者だからな! 明日、酒屋に行っておじさんにもオススメしてみよう。ついでにこの世界だとお酒をどんなもので割っているのか知りたい。バーに行ったのは初めてこの世界に行った時ぶりで、「おすすめお願い」としか言わなかったからあれが何なのかも、分からなかったし。 なんなら、早速明日辺り、ルークにバーに連れて行って貰おう。俺とルークが一緒にいたら多分女の子ががぽがぽ釣れる。ま、今の俺達(主に俺)にはそれも意味は無いんだが…でも、普通にチヤホヤされるのは悪い気しない。 思い立ったら即行動だな、後でルークにお願いしてみよう。2人で出掛けるのが楽しみだ!
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