橘 実来

ぜひご一読を!⚠一部ネタバレ注意です
完結後そっと付け足されていた後書き。そこには 『壊れそうなほど』 このタイトルの由来が有名な楽曲のサビから取った、と説明されていました。 本作を再読後、検索笑 『壊れそうなほど……』 そう熱唱する独特な甘いボーカル。それを聴きながら、本作『壊れそうなほど』を思い返していました。 最初の印象は、青春ドラマどまんなか、三角関係を絡めたボーイミーツガールストーリー。 けれど読み進めていくと、趣がかわってくる。 沙奈と優輝斗が出会い、強烈に惹かれあうことによって、広がっていく波紋。それは、最初はゆるく、でも否応なく周りを巻き込み、複雑な模様を描いていく。 その複雑な部分こそがまさに寺島かなた作品の真骨頂。単純には終わらせない。作者の心意気を感じましたね。 沙奈や優輝斗だけではなく、その他の登場人物たちも、皆、壊れそうになりながらも、自らの思いに向き合い、迷い苦しみながら前に進んでいく。 キャラたちがみな、リアルに描かれていて、親しみやすく、共感できてしまうから。あっという間にストーリーの世界に引き込まれてしまいました。 たとえば主人公沙奈。彼女は婚約までしていた彼氏である啓吾と優輝斗。所謂二股をかけて、優輝斗に走ってしまう。普通なら読者に嫌われても仕方ないタイプの女の子です。 けれどそうはならない。なぜなら沙奈は、自分の非を認め、己の弱さや狡さからも逃げないから。必死で受け止めようともがくその不器用さが愛おしくなってしまうのです。 優輝斗、啓吾、祐介などメインキャラたちも皆それぞれ、悩み、苦しみ、ソレでいて笑っちゃうくらい男の子で。ああ、どこかにいそう。そう思わせる等身大の若者たちを描ききり、ストーリーをよりリアルに輝かせていました。 読み終え感じたのは、これは青春恋愛小説でもありながら、若い彼らの成長物語でもあったということ。 『壊れそうなほど、狂いそうなほど……』 まさにあの疾走感あるビートに乗った、何度もリピートするフレーズのように。 自分を壊してしまいそうになるほど、ギリギリまで夢中になる感じ、弾けるような若さの輝き。痛み、切なさ。そして未来への希望。 それらを存分に描いた本作。爽やかな気持ちのいい読後感、心が洗われるようなこの感覚を体感してほしいとおもいます。 ぜひご一読ください!
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遅くなりましたが、レビューありがとうございますm(*_ _)m そうだね、わたしも最初は青春ど真ん中のボーイミーツガールストーリーだと思ってました。それがタイトルに引っ張られ、気づけば収拾つかないほどグチャグチャドロドロにwwwwww ノープロットの怖さをしりました笑 みんな若すぎてみんな不器用で。汚れて傷つきながら、少しずつ大人になっていく。 決してそんな大層な物語を書こうとしたわけではなく、結果的に書いてしまっただけなんだけども。 そこに何かを感じてくれたなら、苦労して書いた甲斐があったというものです笑 ラストはかなり悩んだけど、若者にはたくさんの未来が待ってる。ハタチやそこらでバッ
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