橘 実来

ぜひ読んでこの空気を感じてください(⚠一部ネタバレあります)
待宵さんの作品を読むと、時折感じる感覚。 泣きたくなるような、甘くせつない感じ。空気が震えるように、そっと指先から入ってきて、背中から抜けていくときには、身悶えしてしまうほど強くなっている衝動みたいなもの。 『携帯密愛』を読んでいるときもやっぱりそんな感覚に何度も囚われてしまいました。 携帯を使ったメッセージのやり取りだけで惹かれあっていくふたり、亜依と充の恋に落ちていく過程を描いたストーリー。 ハンドルネーム永久、それしか知らないのに。携帯でのメッセージのやり取りだけで彼に惹かれていく亜依。一方、充は会社の同僚として亜依を認識しています。 たまたま同じネット上のコミュニティサイトに登録していた充は、SE仲間たちに可愛げのない亜依をからかうようにせっつかれ、仕方なくサイト内でコミュニケーションをとっているうちに、彼女の内面に触れ、亜依への見方が変わってくるのです。 顔も知らない、けれどそっと支えてくれる永久を好きになってしまう亜依。疎ましさすらかんじていた亜依の、ちょっと不器用でまっすぐな性格を知り、惹かれていく充。 ふたりの、恋に落ちるプロセスの違いをさらりと描写する客観的視線や、ココロが近づいていくドキドキ感、すれ違う2人のせつない感じ。 繊細かつ丁寧なストーリーテリングに 気づくともう、待宵ワールドにどっぷりハマってしまっていました笑 そんな物語を紡ぐコトバたちは、決して冗長ではありません。飾りたててもいない。 むしろ潔いとおもえるほど簡潔でクリアな文体なのに、どうしてこんなに、感情豊かに、空気感まで伝えてくるのだろう。 色々考えて、ふと思い当たりました。 その秘密は行間にあるのではないかと。 待宵さんのえがく文章の行間。そこに潜んでいる、せつない空気、優しさ、痛み、戸惑い、染みこんでくるような柔らかな喜び。幸せ。いつの間にか感じている亜依や充の息遣い、熱。 字としては見えなくても、読んでいる私達を緩やかに包んでしまうそれらが、この携帯密愛でも、確かにあって、ココロを震わせてしまうのではないか、と。 実際、読了するまでに、何度も何度も身悶えさせられました笑 せつなくて何だか涙が出そうなのに、温かくて心地よいこの感覚。 そんな待宵さんの世界を、この『携帯密愛』でぜひ体感してみてください。
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お礼が遅くてすみません。 相変わらず誉め上手というか、誉め殺されました。笑 文章表現納得いかないことが多くて、書きながら唸ってばかりでしたが。そして出来もいいとは言えませんが。最後までお付き合いいただけて、本当に嬉しいし感謝しかありません。 貰った感想に少しでも近付けるよう、これからまた勉強していきます。
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