tea(てあ)

【石橋を叩いて】 彼は本当に"石橋を叩いて渡る"男だ。 今日も毎日通る大橋の入口に車を停めて、自前の金槌である一点を叩く。 「毎日やって飽きないの?」 彼は不敵に笑う。自信家なのだ。 金槌が気持ちの良い高音を響かせて、大橋の一部を震わせる。 その震えは貧乏ゆすりくらいのものから、徐々に痙攣のように、やがて踊り狂うように大橋を揺らして、 大橋は車や人を巻き添えに真っ二つに海に沈んだ。 彼の驚嘆したような、しかし満足気な表情を見て、私は彼の後ろを歩くことを生涯の誓いにしたのだった。
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