封建時代に精一杯青春を生きた少女達の物語
 時は大正時代。  封建思想の下、「親に従い夫に従い息子に従え」と女性を家に縛りつける時代の中、精一杯、短い青春を駆け抜けた少女達の物語である。  かつて吉屋信子の少女小説で書かれた少女同士のほのかな慕情が、ノスタルジー溢れる大正時代の少女の文体で綴られていく。  それは同性愛とまではいかないが、微かに官能の香りが漂う関係である。  封建社会からは背徳と決めつけられ、永遠に結ばれることはない。  だが何よりも美しい世界である。  この作品は構成が見事で、徐々に劇的な展開となり、最後には感動の昇華で幕を閉じる。  実はこの作品は構成が見事なため、へたにストーリーに触れると感動がぶち壊しになってしまう。  最初の三行が、この小説に対して僕が抱いた思いとさせて頂く。  最後に一言書き添えておく。  作者は歴史小説に大きな手腕を発揮されているが、この小説こそ、作者が的確に小説の時代の空気をとらえていると感じさせる。  だからこそ、最後に描かれるふたりの少女の会話が、読む者の胸を強く打つのだ。  僕の好きな小説のひとつになると思うし、これからもこのシリーズを読み続けたいとひそかに願っている。    この小説と直接の関係はないが、戦前が古きよき時代というのは、愚かな妄想である。  セクハラやパワハラが好き勝手にできなくなった人間が、そういう時代がよかったと嘆いているのである。  この小説を読んで、ますますその感を強く持った。  
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倉橋さん、素敵過ぎるレビューを本当にありがとうございますm(__)m いただいた日からめちゃくちゃ嬉しかったんですが、きちんとお返事しようしようと思ううちに日が経ってしまい… 失礼していて申し訳ありませんm(__)m たくさんのペコメにも、いつも励まされています。 本当にありがとうございます(><)
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