宇南

男の奥深くにある重量級の愛憎。行き場のない生命力。傑作です。
男が生きていく。ある理由から、不器用にしか生きれない男。迸り出る生命力は暴力でしか現すことができない。深い愛情。しかしそれも、この男が生きる際には暴力に結実してしまう。逃れられない運命。行き場のない物語。このどうしようもない哀しさ。しかしそれが美しい。男が拳を振るう度に、痛さと美しさが同居する。認めたくはないけれども、深く共感する部分がある。その拳に。その血に。男なら誰しもそう思うのではないか。もしかしてこれは、新たなヒーロー像なんじゃないか。森山先生の進化が止まらない。男の奥深くにある愛憎。有無を言わさずに抉り出す。傑作。

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