有月 晃

鬱屈した青年の内面吐露に筆力を感じる掌編
過去にも普遍的に観測されてきたし、これからも世界中で飽くことなく反復されていくだろう出来事。 誰にとっても身近で、冒頭から高い筆力で書き連ねられる青年の素直な屈折は、一人称視点も相まって寄り添いやすい。随所に散りばめられた表現も文学寄りで、個人的にとても楽しめました。 ただ、終盤はタイトル通りの結末にスッと収束、というかタイトルが能弁過ぎた感も否めません。 もちろん「看板に偽りなし」が悪い訳ではないのですが、中盤までの著者様の筆力に期待を高めていたせいか「もう一捻り加えてからの落差で結末を迎える展開も可能だったのでは」と感じました。同じ書き手としては、あらすじの「コンテスト用に書いたけど……」という記述にその辺の事情を邪推してみたり。 作品を初めて拝読しましたが、実力を感じました。 純文学が香る文体に、これまでどの様な本を手に取ってこられたのか、著者様の読書遍歴にも興味を抱きました。 他の作品も拝読したいと思います。 ありがとうございました。
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レビューありがとうございます! Webでは受け入れてもらいにくい作品だと思っていたのですが、評価して頂けとても嬉しいです。 ご指摘いただいた終盤については、正に仰る通りで、自分でも納得のいっていないところでした。 短編コンテスト用として、タイトルとオチを先行して書き始めた事に振り回されてしまいました。もう少し筆力と体力がついたら、そういった制限を設けずに再挑戦したい題材です。 読書歴は執筆を始めてから事なので長くはないのですが、好き嫌いがない質なので、何でも読みます。 そんなせいか自分の作風も未だに定まっていないのですが、比較的よく書けた作品は作品リストの方にまとめてあります。宜しけれ

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