森本

彼は狂っていなかった
★どんでん返しを楽しんでもらいたいので、ネタバレはしません★ 左腕を失った件をかさにきて、妻の晴美を圧迫し束縛する隆之。命を救ってもらった恩があるため唯々諾々と従う晴美。隆之の言動はドメスティック・バイオレンスそのものです。 内向的で無器用で、どちらかといえば晴美の弟のようだった隆之が豹変した理由は、本編の結末に描かれているので触れません。優れたどんでん返しです。一人でも多くの人に読んでほしい……。 「なぜ隆之の人となりが変わったのか」のみならず、「きっかけさえあれば人は専横的になりうる」くだりを板倉さんは描かれました。前者が技術点なら後者は芸術点に値するのではないでしょうか。 群を抜いて不器用だったがために、隆之には晴美の心の痛みが分かりませんでした。また、抜き差しならぬ事情があったため愛情をもって晴美に接する余裕を持ちませんでした。こういう逼迫した状況のもとにドメスティック・バイオレンスは忍び込んできます。 誰しも精神的暴力をふるう可能性があり、その暴力は社会にどう判定/評価されるか。とてもナイーブな問題を板倉さんは描かれたように思いました。見事なノワール(暗黒文学)です。 コロナ禍という逼迫状況を生きる全ての人にお勧めします。ぜひご高読ください。
1件・2件
レビューだけでなく、ページコメントも書いていただき、ありがとうございます。極道猫は以前、実際に書こうとしたのですが、漫画向きのネタだと思い断念したものです。可愛い猫の絵あってのネタですね(笑)。こんな話でしたが、評価していただけて嬉しいです。ありがとうございました。
1件1件
人間を描いた上質な作品をありがとうございましたm(__)m。 いつか極道猫も書いてください。板倉さんは猫を書くと筆が輝きます(笑)。
1件

/1ページ

1件