北山秋嘉

当地の図書館にあった澤田ふじ子著の本は、ほとんど全て読みました。 記憶に残るのは京都市井絵図として花籠の櫛で、後はシリーズもので高瀬川女船頭歌、公事宿事件書留帳、祇園社神灯事件簿などで、これらは江戸時代京都を題材にされています。 尚、エブリスタには紀行のジャンルが見当たりませんが、平成26年に京都逍遥として書いた紀行文の一例です。  祇園八坂神社南門、ここがこの神社の正規の門である。四条通りの突き当りとなる西門が、市街を見渡す位置にあり正規の門と思っていたが、往古より京都の社殿は南に向かって建てるのが習わしである。南門の脇には中村楼と書いた提灯を吊り下げた料亭があった。かつては柏屋と名乗り、今は無くなったが向かいにあった藤屋と合わせ二軒茶屋と呼ばれていた。澤田ふじ子著の祇園社神灯事件簿、主役の植松頼助がこの柏屋の娘と恋仲になる。祇園社の灯籠の灯を守り、町中の悪行をも粛正する神灯目付役と言う役職が、実際にあったか否かは定かで無い。だが京都の産土神として、疫病退散の祈願をする祇園祭の執行や蘇民将来の護符など、京都の町衆から絶大な信仰を集める神社であることを考えると、このような役職があっても不可思議には思えない。こんな小説を思い浮かべながら鳥居を抜け、久方振りとなる八坂神社本殿で参拝を済ませた。かつては真葛原と呼ばれた円山公園、春には華麗な花を咲かすはずの枝垂桜も、枝を垂れた姿がこの曇り空と人気の少なさで精気を失ったかの様に感じられる。祇園社神灯事件簿で取り上げられた真葛原の決闘、念阿弥慈恩に発し上州真庭の樋口家に伝わった真庭念流の使い手である植松頼助が壮絶な剣を振るったのはどの辺りなのか。小説の虚構とはいえ、言い知れない映像が蘇ってくる。この様な主人公を私も書き出してみたいものである。
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こんばんは! 紀行というジャンルは無いようなので、エッセイかノンジャンルにして、自分でタグを付けるような感じでしょうか。 「タグ編集」のところは、自分の好きなようにタグを設定することが出来ますので、「#紀行」とか「#京都」とか入れたら良いのではないでしょうか。 それにしても『祇園社神灯事件簿』を読みたくなっちゃう文章ですね☆ これをはじめ、オススメに上げて頂いた作品は、探して順に読破していきたいと思いますが、なにぶん緊急事態宣言ですからねー>< 一応書店は営業しているようですが、とても札幌へは出られません。 北海道もそうなのですが、京都なども・・・観光地は全て大打撃ですよね。 早いところ終息

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