夜宵氷雨

『歌洗う姫と物怪の少将』完結しました。 最終的には、ヒロインの季姫ちゃんそっちのけで、陽成院と宇多帝(予定)がいいとこ取りしてるような……タイトルどこ行った? この作品は、『日本三代実録』の記述を参照しつつ、『今昔物語』や『大鏡』等のエピソードを取り入れています。 また、小町伝説も囓ってみたり。 季姫ちゃんの異能は、謡曲『草子洗小町』をヒントにしました(小町と季姫に血縁はありませんが)。 ちなみに『今昔物語』では、藤原高藤が宮道列子と出会って授かったのが胤子(作中の季姫)となっています。 ところがこの胤子、生年が不詳。 しかも、最初は一夜の契りだったので、高藤は胤子が生まれたのを知らず、後年になって二人を引き取ったことになっています。 (『源氏物語』の明石の君のモデルとも言われてますね。) 一方の定国は貞観8(866)年生まれとの史料があります(確か『尊卑分脈』だったような……)。 高藤と列子の子は、他に定方と満子がいますが、それぞれ873年と872年生まれで、定国より少し空いてるんですよね~。 ちなみに宇多帝の生年は867年。 この辺りの情報を順当に採用すると、兄弟順は胤子、定国、定方、満子になって定国以降は高藤が列子を都に呼び寄せてから生まれたことになります。 すると……胤子が宇多帝よりかなり年上ということに。 清和帝と高子や一条帝と定子の例もありますし、それでもいいんですが……恋愛要素混ぜようとすると、やっぱり同じくらいの年齢がいいな~と思って、胤子と定国が秘密の双子という設定になりました。 当時はやっぱり、多胎児って忌み嫌われてたと思うんですよね。なので作中では秘密。 そうじゃなかったら『とりかへばや物語』の二人が、あんなややこしい設定じゃなくて、普通に双子になってたんじゃないかなと。 できれば宇多帝の猫の話とかも入れたかったんですが、時期が合いませんでした。 まあ、光孝帝から頂いた唐猫じゃなくて、他の猫でもよかったんですが。 いつか、番外編とか書けたらいいな~。
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お疲れ様でした。番外編いつの日か楽しみにしてますね(╹◡╹)
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ありがとうございます。

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