Takehiko

人間として「生きる」ということ。(ネタバレあります)
信仰という共通項から、 僕は遠藤周作氏の「沈黙」を思い出していた。 どれほど祈ってもどれほど叫んでも、神は応えない。 決して幸福とは言えない姉弟の境遇にあって、 彼らは次々と様々な過酷な試練に遭ってゆく。 誰よりも固い絆で結ばれた姉弟だからこそ その姿は美しく、切なくやりきれない展開へとすすんでゆく。 だがどうだ、この最後の一文字まで読み終えた後の 穏やかで温かい余韻は・・。 これは神への信仰の物語じゃないんだ。 ヒロインたちがクリスチャンであるから この舞台に具現化した悪魔たちが顕れるだけで これは人間の力強い生き方の賛歌なのだ。 決して押しつけがましくなく、 どう生きて来たかじゃなく、どう生きるか 作者さまは僕らに問うているのではないだろうか。 そうだ・・これは僕らの物語なのだ。 読み応えのある、読めば読むほど考えさせられる 僕の拙い言葉では語りつくせない、素晴らしい作品でした。 間違いなく作者さまの代表作の一つになると思います。 贅沢な時間をありがとうございました。
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武彦さん、丁寧な感想ありがとうございます。何度も読んで下さったそうで恐れ入ります。 このお話は信仰と人の弱さをモチーフに置きました。弱さゆえ怯え、必死になって足掻く、涙も流す、魔が差してしまう…。 世間から優等生として見られるますみも本当は年相応の子供でした。 このお話の登場人物はみな弱さがあって、だれかしらに支えられて支えて生きています。 何でも一人でできてしまう神は一人では何もできない人間を理解するのは難しいのかもしれませんね。 代表作…!そんな良かったですか?!
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よかったですとも! そうなのです。 万能の神である前の人としての弱さが 絆を通して何にもまして強くなる‥と感じられました。 神を否定することでもなく、 ただ嘆き悲しむことでもなく、 人は人で生きることができるのだと、僕は思う事が出来ました。 これは僕にとっても大切な作品となりました。 また何度も拝見させてください。
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