さかしま

断片「ある相談所」 どんな悩みでも聞いてくれる場所があるという。この人と結婚すべきかどうかとか。ある人が、お金を払ってその部屋に入る。すると誰もいない。そればかりか、なんにもない部屋だった。ただ、次のような張り紙が壁に1枚、貼られているだけだ。 「AとBが与えられたとする。AとBは対立している関係だ。ところがそもそも対立とは同じ前提を共有しているものたちの間でしか成り立たない。その前提をCとする。Cの観点に立った上で、AかBかを「好きに」選んでよい。すでに対立は解消している。善いか悪いか以前の好きか嫌いかの次元に帰ってこられたのだから」 それでも晴れやかな顔で相談者はその部屋を出た。

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