夏目

「文字のない図書館の物語」の物語
世界から文字がなくなってから長い時間が経ちました。 けれどもそこには図書館がありました。 代わりに使われているのが、あれ。そう、エフェメラです。 語りかけたことを一字一句まで覚えて繰り返すことのできる人の形をしたもの。 物語の吹き込まれたそれを貸し出すのが、彼に与えられた仕事でした―― 物語の舞台は魔法もなければモンスターもいない、地球の中世によく似たファンタジー世界。この世界には、紙やペンといった言語情報を書き残すためのツールが一切存在しません。文字もなければ本もないこの世界で人は、言語情報を記録する術を一切持たないかというと、そうではありません。エフェメラと呼ばれる、人語を記録する力を持つ不思議な人形がこの世界には存在するからです。 エフェメラには、人に語りかけられたことを一字一句まで正確に覚えて繰り返す力があります。その力をこの世界の人々は、我々の世界で言うところのボイスレコーダーのように使い、物語を記録しています。 この世界におけるエフェメラは、私たちの世界におけるペンや紙ほどありふれた存在ではありません。数が限られてしまっている貴重な存在なので、人々はエフェメラを、「図書館」とよばれる施設で一括管理しています。 「文字のない本」すなわちエフェメラを貸し出す図書館の物語。それが、本作のタイトルにある「文字のない図書館」の意味なのです。 本作の主人公は、文字のない図書館に勤めている青年「トウ」。 トウは、体が大きいわりに喧嘩が弱く臆病な青年です。 本作は、人一倍臆病でコミュニケーションが苦手な青年が、「美しい装丁の本」に例えられる存在エフェメラに作家として心を乗せ、未来を描いていく物語です。 2019年6月30日 本作がエブリスタで公開。 2019年8月26日 執筆応援キャンペーン「本/図書館/本屋さん」で本作が大賞受賞。 2019年9月21日 ラジオ番組「真夜中のラジオ文芸部」で人気声優の三上枝織さんが本作を紹介。 2020年4月30日 エブリスタの「完結作品特集」で紹介。 2020年5月2日 「天狗、ロシアを翔ける」の武田ゆいさんが本作の感想を投稿。 2020年5月15日 しなののみかんさんが制作した本作のオリジナルPVがYOUTUBEで公開。https://www.youtube.com/watch?v=0S-i18ahQiM&t=43s
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