作者の創造力に脱帽
 物語は夕暮れの公園から始まった。  幼い三人の冒険から、一気に時間は流れ、大人になった時羽とさつきの朝食の場面になる。  食事を描写しながら、二人の環境や性格に留まらず、逼迫した経済状態まで見事に描いてしまう作者の技量は流石の一言である。  しかも、行間から時羽の作る料理の香りが漂うからたまらない。生唾を飲み込んだ読者が多数居ただろう。質素な料理が豪勢に見える描写もさることながら、忘れていたノビルを思い出させて頂いた。  その朝食時に幼き日に居なくなった白雪が現れた。  訳ありの病院から退院出来ない幸子さんからの依頼と白雪の大切な指輪を探す為の三人の奮闘が始まる。  幸子さんが退院出来ないのはなぜ? 白雪の過去は……。目が離せない構成もさることながら個性豊かなキャラクターが素晴らしい。時羽の感情が味覚として伝わる設定は誰も考えつかないだろう。ボーイッシュ?で我道を行くさつき、美人で誰もが惚れてしまう白雪、加えて脇役が素晴らしい。特におねえのマネージャーが物語という料理にスパイシーな香辛料の役目を果たしていると思う。  これだけのキャラクターが、原稿用紙の中で縦横無尽に動き回るのだから面白くないはずはない。そしてクライマックスのおもちゃの指輪の正体が分かった時の驚きは後頭部を殴られたような衝撃でした。作者に脱帽です。
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Maroさん! 詳細で丁寧な、素晴らしいレビューをありがとうございます! コビトシリーズの特徴として設定している「美味しそうな料理を登場させること」を、評価していただいて、とても嬉しかったです。 加えてキャラクターが魅力的、と評価していただいたことは、とても自信になります! そして、1番のなぞと目論んでおりました指輪の仕掛けに驚いてくださって、作者としてはやった~と叫びたい気持ちです。 ありがとうございましたm(_ _)m
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