なぎの みや

最も『自分』と語らう時期
人格を形成する最終段階に入ったとも言える高校生活。その時に何を成すか、誰と時を共にするかで、その後の人生に決して少なくない影響を与え続けます。 主人公の美玖は、歌うことが大好きな少女。 幼馴染兼同級生の颯真の時間がある時に付き合ってもらい、動画サイトで歌声を披露する『歌い手』という活動に勤しんでいます。そんな二人の人生は、ある転校生との出会いで少しづつ変わっていき―― 本作の登場人物は、良くも悪くも素直な子達ばかりですね。自分に正直とも言いましょうか。反して主役の美玖が少し控え目な性格のせいで、どうも周りに振り回されている様に見えます。でもそこから、彼女の一生懸命さが伝わってきて大変微笑ましく思えました。 本作を一言で述べるとしたら、「成長の物語」。高校生なのですから当たり前と言えば当たり前なのですが、もう彼女達くらいの年齢になると、黙ってても勝手に大きくなったり大人になれる訳ではありません。日々の生活の中で悩み、考え、周囲の空気とも会話する。そういった子どもの時には不要だったスキルを磨き、尚且つ昨日の自分を乗り越えて行かなければならない。何かにつけて少し臆病な美玖の成長が、読者はそれを見守る様に覗き見る事が出来ます。 あと、本作で個人的に感銘を受けた点は、挫折を安易に美談に繋げていないところ。 具体名を挙げたら、里奈の終盤のシーン等ですね。 そうなんです。長い人生、負けたら負けっぱなしの時だってあるんです。例えそうなっても、やっぱり自分で立ち上がらなきゃいけない。頑張った事もサボった事も、諦めた事すらも。全部自分が一番知ってて、分かってるんです。その事に真摯に向き合えたからこそ、美玖は大きく成長の出来たのだと思います。 余韻を残した最後は、作者様の粋な締めくくり方ですね。ここから大化けするか、自然消滅するか。それは神のみぞ知る。だから今日からまた、頑張れる。 これから青春を迎える若い方達に是非読んで頂きたい、アオハルの教科書的な作品。大変楽しませて頂きました。 ありがとうございました( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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感想ありがとうございます。こんなにたくさんお言葉をいただきまして、感激してます。 クラスによくいそうなタイプの里奈ちゃんですが、今後頑張ってほしいなと思います。中学、高校と、煮詰まる時期ですから。 チャンスを掴めた美玖たちは、今後どうなるでしょうか。それぞれがこれから人生の基盤を作りながら、前向きに歩いていくだろうと思うので、トラブルはまだまだありそうです。こちらはこちらで頑張ってほしいなと思います。
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