雑魚座

突然に印象に残っている文章、台詞を書いてみる。 『二階から春が落ちてきた。』  出典:伊坂幸太郎「重力ピエロ」 『胸にライターを挟んだバニーガールの夢を見ていた。』  出典:伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」 『実家に忘れてきました。何を? 勇気を。』  出典:伊坂幸太郎:「モダンタイムス」 こうやって並べてみると、やっぱり面白い一文目だとしみじみ思う。 奇を衒っているなぁ、と。 その割に、奇妙なリアリティのある小説を書く人なわけだけど。 さて、次。   ★ 「わたしたちはおとなにならない、って一緒に宣言するの。 < list:item >  < i:このからだは >  < i:このおっぱいは >  < i:このあそこは >  < i:この子宮は > < /list >  ぜんぶわたし自身のものなんだって、世界に向けて静かにどなりつけてやるのよ」   ★  出典: 伊藤計劃「ハーモニー」 医療分子《メディモル》によって、人々の健康が高度に管理された社会での、御冷ミァハの言葉。 人間一人一人の身体は『公共資源』とされ、わたしたちは健康を、その資源を守る義務がある。 病気が撲滅された世界での、ちっぽけな子どもの反抗。 作中ではこの社会のことを「真綿で締め付けられるような息苦しさ」と語っています。  では、最後。 「好きって絶望だよね」  出典:桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」 我らが人魚の零した一言。必死で、全力で、周囲に砂糖菓子の弾丸をばら撒く彼女の、焦げ付いたカラメルみたいな一言。

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