つるよしの

心がほっとするような、でもその安堵感に、気持ちかき乱されるような。
2章はじめまで拝読しました。 おだやか魔王、というからにはコメディかとタイトル拝見したときは思ったのです。 「おだやか」な「魔王」。そんなんいるんかいな、ギャグかしら、と。 ところがどっこい、たしかにマールはおだやか魔王でした。まさに名の通り。 その日常と仕事の様子が、ユーモアもプラスしてあるとはいえ、 静かな筆致で描かれていく展開。 (それでいて数々のキャラクター描写は生き生きしてるというのがすごい) 残虐な場面もなにもないのに、なんだ、この衝撃は。 魔王が出てくるファンタジーの概念を完全にひっくり返されました。 さらに、 「魔王はたくさんいる」。 その意味はまだ明らかになってないとは言え マールのこの言葉の重さは何事でしょう。 善とされる神が、もしくは人が、もしくは動物が世界にはあまたと存在するように おなじく(普通)悪とされる「魔王」もたくさんいる……とは。 悪はひとつではない。なら、善もひとつでない。としたら。 いったい何を基準に、おのおのの立場で、信念を貫けば良いのでしょう。 いや、その矛盾の中に身を置きながら、 道を探すのが「生きていく」ということなのでしょうけど。 本当に、世の中がわかりやすい善と悪で成立していたら、どんなに生きやすいか。 気が付けば自分がリーザの立場になったように うんうん考え込んでおりました。 さあ、マールはリーザから、リーザはマールから、何を得るのでしょう。 この異質の者同士の出逢いにはどんな意味があるのでしょう。 マールのおだやかな言葉や仕草から時々にじみ出る孤独も気にかかります。 心がほっとするような、 でも、かえってその安堵感に落ち着かなくなるような、心かき乱されるような。 いま、なんとも言えない読後感を味わっています。 この引っかかりこそ、この物語の醍醐味なんじゃないかと、かみしめながら。
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レビューいただきどうもありがとうございました! やはりタイトルから連想されるものとか、「魔王」が持つ一般的イメージとはダークで非道で残虐なものなんだなあということを考えさせられました。 神と魔王については本文中にちょっとだけヒントが有るのですがそこに気づいたところで今のところはなにもないので、ゆったりお待ちいただければいいなと思います。 自分はおだやかお気楽ファンタジーのつもりで書いていたところ、それが逆に不安感を煽っていたり思うところを作ったりしている…なるほどな!と思いました。 期待に応えられるように、また期待を裏切ることが出来るように、頑張って書いていきますので今後を見守ってやってくださ
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