小気味よいテンポの離婚警報発令事件でした。
「離婚警報発令中」──定年を迎えてのほほんと暮らしている義昭の身に起こった、とある大事件。 残された紙に書かれていた警報解除のための努力を頑張るのだが、なかなかうまくいかない上に、考え方がまさに昭和の親父で笑いました。これ、家族構成が男ばかりというのがいいですね。それで長男のお嫁さんとタッグを組んだ幸枝さんの強かさと朗らかさと包容力にやられます。お嫁さんのことを「夫の愚痴を言い合えるママ友みたいなもの」と関係性を一文で示してくださるのが、この裏にあるお嫁さんと息子のたけしとの様々を考えられて面白いなと思いました。きっとあったんだろうなぁと遠い目になります。加えて、そのたけしが父・義昭を助けにきてくれるところも凄くよかったし、ちゃんと次男にも連絡してくれているんだなっていうながれも秀逸です。 きっとこういう家庭の在り方を、ずっと幸枝さんが守って助けて支えてきたからこその、この時間なのだろうなって思えます。そして幸枝さんがそれをできたのは、きっと義昭がきちんとした父親で夫であってくれたからなのだろうな……と、長い時間で育まれた家庭の情景を思えました。 最後まで必死に頑張るお父さんと、優しく受け入れるお母さん。良い家庭だな、と感じてほんわかしたものをいただけました。 とても素敵な作品をありがとうございます。どうぞこれからも頑張ってくださいませ。

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