八神ユーリ

『ネクロマンサーは嫌われ者』…続き。 「…あの…」 男性が去るとどこからか近づいて来た女性が声をかけてくる。 「はい?」 「ダンジョンに、行かれてたんですよね?」 「はい」 「どのような状態でした?」 「…はい?」 女性の質問の意図が読めずに首を傾げて聞き返す。 「あ、すみません…ウチの息子がもう一週間も帰って来てないので…」 「ああ……この中に居ます?」 主人公が困惑してる事を察した女性が事情を説明するとあのダンジョンで拾った死体達を並べるように召喚した。 「!?ま、まさか…あなた…!ネクロ、マンサー…!!」 「一応補修して綺麗な状態に戻してあるので、見ていただければ」 「………あ、ああ…!そんな…!…うぅ…!」 主人公の行動に女性は驚愕して怯えたように後退るが話を聞き、恐る恐る死体を確認していく。 そして自分の息子を見つけたのかその死体の前で膝を着いて泣き出した。 すると主人公はその一体の死体以外を片付けて状況を見守る。 「…お見苦しい所をお見せしてすみません…申し訳ないのですが、この子を私に返していただけないでしょうか?せめて葬儀だけでも…」 「ああ、いいですよ。どうぞどうぞ」 涙を拭った女性の要望に主人公はあっさりと死体を受け渡すジェスチャーをした。 「…ありがとう、ございます…」 「…あ。もしその人が生き返るとしたら…いくら払えます?」 死体を背負うようにして運ぼうとする女性に主人公が思い出したかのように質問する。 「…もし、この子が生き返るなら…ですか?…ソレがもし本当なら私は全財産を投げ打ちます」 「なるほど。では払えるだけの金を払えば生き返らせる…と言われたら?」 悲しみにくれたような女性の母親としての決意がこもった言葉に主人公は軽い感じで問う。 「…!ほ、本当ですか!?本当にこの子を生き返らせてくれるんですか!?」 「生き返るかどうかは運次第だけど…もし、それでも良いんだったら払えるだけのお金とその死体を持って教会に来てもらえれば」 「わ、分かりました!すぐに準備して行きます!」 主人公の説明を聞いた女性は死体をその場に置いて走り去って行く。 「…死体も、って言ったのに…コレは僕が運ぼうか」 主人公は死体をしまうと、この村唯一の教会へと向かった。
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