服部匠

現代に生きること、心に抱えた情焔を燃やしたがってるあなたに
東京は日本橋にある、不思議なお店「雪魚堂」。 日々を生きる中で仕事や家族関係に悩むひとびとがふっと訪れるあわいの空間では「みこころうつし」と呼ばれる百鬼夜行(パレード!)が行われていて、人々の憂さ晴らしになっている……。 自分を偽る就職活動や、目標の為に違法スレスレの仕事をせざるをえないサラリーマン、立て直そうと必死な洋菓子屋と、どこにでもありそうなリアリティ溢れる登場人物たちと、豪華絢爛で幻想的、そして優しくも魅力的な「みこころうつし」の描写が相まって、日常の喧騒を忘れさせてくれる痛快な読み物になっています。 就職活動中の主人公が忘れてしまっていた苦悩はとてつもなく大きくて、読んでいるこちらまで涙ぐみました。 作者さんの「ふつう」に対して真摯なまでに考え抜かれ、やさしさと強さがあふれたラストは必見です。
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