小池 海

人生はゲームだ(その1)
人生はゲームだ。 はじまって、すすんで、やられて、またはじまって、すすんで……。 私が人生ではじめてゲームをしたのはスーパーマリオだった。 人生で最初のプレイは、右ボタン押しっぱなしでクリボーにぶつかって死んだ。 2回めも同じで、3回めになってようやくAボタンを押せば飛び越せることがわかった。 ブロックを壊せばキノコが出てきてパワーアップすることがわかった。 スターを取れば無敵だった。でも、落ちれば有無を言わさず死んだ。 なんとかクッパを倒してピーチ姫を助けたと思ったら、偽物だった。 そんなこんなで、最後には本当のピーチ姫を助けたと思ったら、2,3,と冒険は続いて……。 何度もやられては、試行錯誤して、乗り越えていく。 ゲームの世界に限ったことじゃない。 テストで赤点とっては焦って勉強して。 仕事で怒られて一人泣きながらやりなおして。 大会で負けては悔しくて練習して。 公募に落ちては凹んで再び書き始めて。 私たちは誰だって、ゲームのような日々を送っている。 中でも、恋愛が一番のゲームだと思う。 自分でも気づかないうちにスタートボタンは押されていて。 心も身体も動きを読めない相手に素手で向かっていって。 タイムできない選択肢の連続が、2人の未来を決めていって。 横から強敵が割り込み対戦してきたり、ハマってしまって前へ進めなくなったり、 エンドまでたどり着けずゲームオーバーになることだってざらだ。 この一瞬一瞬の選択と、無限に現れる時として理不尽な障害、そしてその先にある未来が、私達の感情を奥底から揺さぶる。 自分だけの恋愛で手一杯なのに、ゲームや小説や漫画で恋愛モノを味わってしまうのは、恋愛というものが人間にとって根源的なものであり、かつ、中毒性のあるものだからだろう。
2件

この投稿に対するコメントはありません