現実に出来ないことを物語にすることが、小説の原点なのだと改めて気づく
【物語は】 ネタバレを防ぐと、説明はこうなるのではないだろうか。 ”強者と弱者”の立場の交代。ここから全ては始まる。 【人は憎しみを強く感じ抑え込まれると快感に変わる】 これは現実ではなく、読者のことである。(現実は抑制するものなので)だからこそ物語は産まれ、人はそれを手にしたいと思うのではないだろうか。 自分は本来こういう描写は苦手なのだが、何故か快感を覚えた。それは抑圧された感情の解放というものを味わったからである。ただこの物語は、キーワードとして”虐待”という言葉があるが、単なる復讐劇の様なものでは無し、ただただ感情をぶつけ虐待し続ける偏ったものでもない。 【モチーフの使い方の巧さ】 人が子供の時に恐怖から逃れるために、自分ではない自分や人格を作ること は良く知られている。この話は多重人格の話ではないが、”恐怖から逃れるためには”ということから派生したモチーフが使われている。ただ、最後まで謎は分からない。読者への興味関心の持たせ方がとても秀逸で、最後はどうなるのだろうかと想像したり、これはハッピーエンドなのかバッドエンドなのかと全く先が見えずに、ハラハラドキドキする。 【想像を絶する意外な展開】 この物語は全体を通して、想像絶する展開目白押し。そして因果応報というのは、単に自分に返って来るのではなく、時には選択することもあると言うことに気づかされる。恐らく、読まないと何を言っているのか分からないとは思うが。方向性は一般的に想像できても、その方法にオリジナリティがある。少なくとも、自分にはこの発想はない。 この物語を読んだ感情の動きとしては、初めはうわあっと目を背けたくなり、次第に怒りを感じて、それが快感となって解放される。しかしその後はどうなるのか、大丈夫なのかハラハラする。こんな物語である。もし、猟奇的な表現が苦手でなければ是非手に取っていただきたいと思う。 読めば、タイトルが何を指していたのかも分かります。ああ、そういうことかと。オリジナリティが溢れ、発想豊か、読者の感情を動かす凄い作品です。おススメですよ。 なるべくネタバレにならないよう、ぼかして書いております。
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こんばんは! いつもお世話になっています。 素敵なレビューありがとうございます。 ネタバレせずに、ここまでの内容でレビューできる、進撃7さんの手腕に感服いたします。 モチーフは正にそこにありました。後は、思い付きと勢いで、突っ走りました。疾走の中で生まれた作品に、ここまでの深い解釈と理論の展開に深く感謝いたします。 嬉しい限りです。 そして、このレビューを主人公の二人がとても喜んでいると思います。 素晴らしいレビュー、本当にありがとうございました!
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こんばんは。ネタバレスレスレかなとは思っています。 この作品の凄いところは、色々ありましたが、憎しみを感じると苦手な描写のはずなのに、やっちまえ!と感じてしまう、爽快感になってしまう、自分自身の中に眠っている黒い部分に気づくことだと思いました。 あとは、因果応報の方法を選択させるというにのも驚きました。果たして彼らはどんな結末を選ぶのか。読者へ委ねるところもまた、良いなと感じました。
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