Phantom Cat

https://estar.jp/novels/25747073 この作品のラストがどっかで見たような…と思ってたのですが、ようやく思い出しました。ドラえもんの「台風のフー子」だ… タマゴから生まれた台風のフー子が、最後は東京に迫る巨大台風に特攻して相打ちするという、涙なしに見られない名作ですが、これ、かなりSF要素が強い作品でもあります。 複雑系の世界では「自己組織化」という現象がしばしば取り上げられます。一番身近な例は、熱い味噌汁を放置しておくと模様が発生する「ベナール対流」ですね。惑星や恒星、銀河、銀河団の形成や生命現象、気象も全て基本的に自己組織化なのですが、これはいわゆる「散逸系」でしか発生しません。「散逸系」というのはエネルギーや物質が自由に出入りできる系のことで、そうじゃない「閉鎖系」ではエントロピー増大の法則によりこのようなことは起こりません。 つまり、生命と気象は共に「散逸系の自己組織化」現象という枠に一緒にくくられるわけで、台風のような気象現象も生命と本質的に変わりはない、ということです。(余談ですが、以下の作品で登場する「惑星の大気は生きている」というアイデアの根本もこれです) https://estar.jp/novels/25677390 そう考えるといかに故藤子F先生がとてつもないSFマインドの持ち主だったかがわかりますね。 それはともかく、僕がこの件でつくづく痛感したのは、やはり昔触れた先人の作品の縛りからは逃れられないんだな、ということです。「Web にまします――」が「ネットワークベイビー」の影響をかなり受けている、という話は以前書きましたが、実は根本的なアイデアも A.C.クラークの短編「Fはフランケンシュタインの番号」から来てるな、と後々気づきました。それに加えて「台風のフー子」… やはり僕にとって創作というのは、過去の自分(が影響を受けた作品)を丸裸にする作業なんだな、と思い知りました。
7件

この投稿に対するコメントはありません