小説を『造る』
 上手い具合に作り込んだ作品、という印象を受けた一品でした。  あからさまにお話の形を整えてしまえば、隙が無くなり面白さを感じる余裕がなくなってしまいますが、あまりにバラバラだと面白みが生まれなくなる。  キャラクターの言動に自由さがあり、それでもメインの筋書きをサクサクと進めていく、両方のバランスが上手く取れているように思いました。  テンポは速いんですけど、逆にこれ以上遅かったらダレるだろうな~と感じますし。  凄いなと思ったのが、まずはキャラクターの心情の描き方。主人公だけでなく、全員が崩れずに生き続けている。これによりキャラクターが立ちますね。容姿だけでなく心までイメージしやすい。  伏線。伏線というか、絡ませ方ですよね。これだけの重たいキャラ達を、大局で自在に操れるのはお見事と言う他ないです。広い世界観での作品が得意なのでしょう。  文章は癖があります。  好みが出てしまうかもしれませんが、単調な文章に飽きた方なら面白く読めると思いました。地の文の端々に、作者の感情を乗せていくスタイル。上手くシンクロすれば、感情をリードしてくれるので世界に入りやすいです。  言葉を沢山知っているというのは、表現に置いて間違いなく得をするなーと、読んでいて実感しました。言葉を選ぶセンスって、作品に作者の色を付けますよね。  独自性を発します。こなれた文章がなにか馴染みやすさを覚えました。  妖怪漫画のオマージュ作品。  それでいながらここにしかないお話を組み上げ、パクりにさせない物書きとしての手腕を魅せています。  読み応えのある読後感と、勉強をさせてもらった作品でした。
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ゲゲゲ愛が昂じて出来上がった作品です。文体の癖は意識しました。なんも考えずに書くと一切フックのない文章になってしまうので。 丁寧な感想ありがとうございました!

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