ンバ(幽霊)

法家思想と義の対立
中国戦国時代末期、燕の国の刺客として秦王政の命を狙った荊軻の物語を描く。 田光、高漸離、太子丹、嬴政、樊於期、そして荊軻と、登場人物は史書の流れをなぞるだけの通り一遍のキャラ付けはされておらず、それぞれにしっかと血が通っており、著者様の歴史造詣の深さと執筆手腕を窺い知る事が出来る。 法家思想を重んじる秦は規範と数字を是とし、義や忠といった精神の世界を非とする。焚書坑儒も大量虐殺も、効率を突き詰めた結果として在る。荊軻は、デジタルの世界にアナログで立ち向かうという印象。理には合わない、それがきっと彼らが身を置く義の世界なのだ。 かくて荊軻は、いかに成果を挙げたのかという記録ではなく、記憶に残る男となった。 視点切り替えが巧みで、荊軻のカチコミも高漸離の視点で語られ、事の顛末は秦の文官の口伝による。本人の視点を通さない事で、各々の立ち位置やその影響をより俯瞰的に見る事が出来る。これも、紀伝体を読み慣れている方の表現法であると感じた。 聞けば今作が歴史モノ処女作であられるようで、二度びっくり。次回作も全力でお待ちしております。
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感想ありがとうございます❤︎ 結構独自解釈強めなので、わりにドキドキしながら書いてました。 荊軻は謎キャラにしたいのと暗殺シーンのセリフが理解できなかったから、書くはじめから一人称なしと決めてたんだけど、褒めていただいてとても嬉しいです。 自分のメインは怪奇とかホラーとかなんですが、歴史書くと書き方とか勉強になったのでまた描きたいと思ってます。スタイル的には志怪小説もいいなと思ってたり。前に備忘録で道教はかなり深く書いたので、道教会も面白いかなと思ってます。于吉が川で経典拾って祭り上げられるとか需要あるのかな……。 次回作、呉越リクエストありがとうございます。でも、なんてゆか、臥薪嘗胆も会
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