あめんぼ

愛すべき「少年の成長」という概念
 いわゆる「荒れた」生活を送る主人公の少年。彼がとある小説とその作者である女性に出会うことで、新たな世界や価値観を知り変化していく物語。世界観は現代和風ファンタジーにあたり、霊術や陰陽師等の存在が現れますが、主人公が何の能力もない全くの一般人であり作中でも霊術の存在は広く知られていないため、彼の困惑ぶりは共感のポイントになりました。  同時に、すぐには理解できないけれども知りたい、知らなくてはいけない、という意志が彼の素直さを表している様にも感じられます。未知に踏み込み、そこが果たして自分の居場所になるのかと疑問を抱き不安に駆られながらもまっすぐな心を失わない。弱さを自覚した強さが魅力的な主人公でした。  何が正しくて、何処へ行けばいいのか。青臭い、と評されそうな問いかけに真正面から向き合い、別段特別でもない体で受け止めていく彼。そしてその覚悟が、周りも変えていく。自分には、少年が一人前へと成長していくその一歩目を描いた作品の様に思えました。支えられることを知って初めて、他人を支えることができるようになる。そんな(勝手な)解釈を記して感想&レビューということにさせて頂きます。
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