あーる

物静かで美しい情景と深い情愛に胸の奥が疼く短編物語
想いびとの裏切りの先に気づいてしまった“初恋”。 求めず、抗わず、ただ傍にいて想う。そうして長い時間想い続けたのは、人あたりがよくて優男風だけれども存外計算高いずるい男で……真面目で無口な朝市さんがそんな彼を一途に想い続ける姿には健気さと表立たない深い情愛を感じます。 でも、それと共にずるささえも受けいれることで相手にも自分という存在の必要さを示しているようで…この関係はふたりだけが持ち得る特別なものだったのだろうと思いました。 そんな言葉にしない了解で保たれていた関係に水を差したのは腕の良い渡りの職人。彼によって明白となる初恋の末路……もうこのシーンには朝市さんのいろんな思いが流れ込んできて胸がぎゅっと締め付けられました。 初恋の終りが見えたとき、傍らにいたのは朝市さんに惚れこんだ男で。こののちは表立って想われることのしあわせを彼と共に味わいながら、仕事も恋も、満たされた時間を過ごしてほしいと願ってしまう素敵なラストでした。 恋の終わりと始まり。 短編の中で描かれるほんのひと時のできごと。回想を間に挟む構成の巧みさも相まって、その時代その場所へ心が飛んでゆくような、静かで美しく情熱を孕む描写に惹き込まれるとても素敵なお話でした!
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あーるさま。  この度は愛情深く、そしてため息が出るほど美しい感想をお寄せいただき、誠にありがとうございます……!もうこれまでに、何度も何度も読み返しております。  朝市ではありませんが、私がこの作品に込めた秘めた想いを、あーるさんが全て掬い取ってくださいました。これは物を書く人間にとって至極の喜びです。本当に本当に、ありがとうございました。  青城さんの素晴らしいお表紙に恵まれ、あーるさんの素晴らしい感想に恵まれ、この作品の登場人物たちは何と幸せ者なんでしょう。そして同時にこの作品を書いた私も今、同じ幸せを噛みしめております。  この作品を書いて本当に良かった。また再び書いてゆく励みにな
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