ぺぇしぃ

批評
プロの作品かな? と思うほど良く出来た小説だったかと思います。 纏まったストーリ構成。創意工夫の施された読みやすい文章。 店頭に並んでてもおかしくないなっていうのが、正直な所です。 ただ、個人的には、主人公のキャラクター設定が気になりました。気になりましたというか、好きになれなかったという方が正しいかもしれません。 三日間ぐらい何故好きになれないのか考えました。 結果、主人公の性格に問題があるのだろうという結論になりました。 全体的に冷酷なんですよね。 これは、でも、作者様も分かっていらっしゃると思うんですよ。 とはいえ、やはり彼女の考え方は全体的に共感しにくかったです。 蒼乃関連のエピソードは特に顕著だったかと思います。 長年知り合いの同級生を、名字が変わるというだけで虫けら扱い。そんな彼女をコロすことに躊躇いがない。 そもそも、蒼乃を殺してまで「人間に戻りたい理由」ってあまり書かれてないんですよね。 コロしても良い理由は、幾らか描かれていたような気がしますが……それも倫理的にどうなんだろうと思いました。 吸血鬼は人間ではないからコロしても良い理論。 でも吸血鬼も人間から生まれた存在で、ヒトの形を模しているわけです。 「肌の色は違っても同じ人間だよね」との考えが普及してきた世の中で、肌の色すら同じ吸血鬼をなぜ違う存在であると簡単に割り切れてしまうのか。 もっと言うと、別に吸血鬼のまま、今まで通り普通を演じて生きる道もあった筈です。それを諦めるに足り得る理由ないし葛藤も、本来は描かれるべきだったように思います。 更に言うと、蒼乃自身はあまり悪いことをしていないってのもあります。 誰かをコロしたわけでも、放火魔だったわけでもない。最終的に襲い掛かりはしましたが、ただ主人公のことが好きだっただけ。 だからか、より一層主人公の冷酷さが際立ったように感じました。 主人公だから聖人君子たれ、と言いたい訳ではないのです。 ただ、とはいえ、非道に寄り過ぎているように思いました。 それが個人的に好きになれなかった理由ですね。 長々語ってきましたが、結局は嗜好の違いのように思います。 ぜひ聞き流して頂ければ幸いです。 普通に売られていてもおかしくない、そう思うぐらいには完成度の高い作品だったのは間違いないです。 以上。
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