小池正浩

VS
 宮本武蔵と佐々木小次郎が一騎討ちをおこなったことで有名な、巌流島で起こった不可能犯罪──。  本州最西端の山口県下関と北九州の福岡県門司のあいだ、関門海峡なかばに位置する風光明媚なその無人島で、とても不可解な殺人事件が発生する。  毎年恒例の関門海峡花火大会の翌日、島内にある海辺の緩傾斜護岸で、大会前日に殺害された男性の遺体が発見された──がしかし、観光客や見物客でごったがえし衆人環視の状態だった花火大会当日さなか、現場で遺体を見たという人間はひとりもいなかったという。しかも被害者の姿どころか、遺体をおおっていたような不審物も、犯人とおぼしき不審人物も、いっさい誰にも目撃されていない。  どのようにして屍体は移動したというのか。  あるいは、どのようにして屍体は隠匿されたのか。  犯人はいったい、どのようにして屍体をいったん消失させ、ふたたび出現させたのか。  屍体の移動と隠匿という問題、不確実だが制限された条件下で起きた不可思議な謎。屍体の消失と出現トリックという不可能な状況下でおこなわれた犯行をめぐり、主人公と友人は議論を戦わす。  勝負を制するのは回答者か出題者か。  対立するのは語り手たちだけではない。本作品は巌流島の決闘さながら、対決の構図をアナロジカルに展開する。  勝つのは「犯人」か「探偵」か。  はたまた「作者」か「読者」か。  はたして推理対決に勝利するのはどちらなのか。  ご当地グルメをぞんぶんに堪能しつつ、観光名所をいくつも探索しながら、繰り広げられる推理ゲームの果てに訪れる驚愕の最終決着。  驚愕必至のトリック、解明できるか──いざ勝負。
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いつもお世話になっています! レビューありがとうございます。 「オルタナティヴ批評」での批評に加え、レビューまでいただき感謝です。こんな古い作品を掘り下げていただき、嬉しいです。 あいかわらず、渋い(笑)文章での語り。このまま、「あらすじ」欄に載せたいくらいですね。(いま確認したら、自分が書いた「あらすじ」はたったの2行!) 驚愕。小池さんに驚愕していただけたなら、そりゃもう本望ですよ。 ところで勝手な想像ですが、小池さん、下関に行かれました?僕以上に現地に詳しいような気がしてます・・・(いろいろと調べていただいたのですね) こんなご時世ですから、文章の上でも旅行気分を味わっていただ
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