あーる

切なさとさびしさが胸を占める泣き虫ヴァンパイアと孤独な僕の物語
ふたりの世界を淡く照らす月明かりの窓辺。 寄り添う彼らの姿が一枚の美しい絵画のように目に浮かぶ物語です。 さみしさと哀しみのかたまりのような生きもの。泣き虫なヴァンパイアは美しく切なくて( ・ ・̥ ) まるで無風の暗闇に澱む靄のように、ずっと漂う哀しみと愛(かな)しさが胸をふるわせます。 お互いのさみしさを埋めるように逢瀬を重ねるのに、ゆくゆくはその存在が更なるさみしさを生むことになる。 それがわかって、姿を現したヴァンパイアと、それがわかって、ある決断をする僕。 この想いの交錯に、胸が張り裂けそうになりました。 殊さら強く胸が締め付けられたのは、自らの決断を遂行一世一代の大芝居をした僕が、忘れたくないと念じながら記憶の中の「僕のヴァンパイア」をスケッチするシーンです。違う、こんなんじゃない、と、何度も何度も描き直す。写真には残らない大切なひとをそのままの姿で残したい。 その僕の気持ちに共鳴してしまい肩を震わせて泣きました。 海辺の病院、静かに僕がひとり逝く場所が穏やかでよかった…とまた涙します。 そして、暗闇に溶けていった泣き虫さんがひとりどこかで月を見上げている姿も浮かびました。(勝手な妄想すみません(笑)) ふたりが存在したこと、ふたりに流れた時間を肯定できる唯一の人物。 僕の姪、彼女の手紙とその存在は「救済」と感じました。 いつか手紙が泣き虫さんに届きますように……と強く強く願ってしまいます。 ただ、その手紙が届いたとき、泣き虫さんがたどるであろう未来は……と考えたとき、また涙がこぼれてしまいました。 耽美な世界観にずっとずっと泣かされました。 そして、相変わらずの素晴らしい表現力に酔わされました。言葉選びの秀逸さ加え、間のとり方の妙にしびれます。単語の繰り返しも詩的でなおかつ思いが強調され伝わってくるとても好きな表現です。 彼らがどこかで肩を寄せ合い、スケッチのような笑みを零しながら話す姿を想像……そう願いつつ…… 本当に素敵なお話をありがとうございました!!
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あーるさん。 いつも、あたたかくも熱く、深い感想をありがとうございます。 このお話はそもそもあーるさんにあのイラストを頂戴しなかったら生まれなかったお話です。 あの絵があったから、『サンクスアミリオン』と『いま合いにゆきます』を繋げてみようと思い、結合させた結果が『泣き虫で~』でした。 窓辺で、頭から毛布をかぶった僕とヴァンパイアが寄り添い、小声で会話をしている、というシーンがこの作品のハイライト的なシーンだと個人的には思っているので、そこを絵画のように目に浮かぶと言っていただけてものすごく嬉しいです!! 手紙はいつか、泣き虫のヴァンパイアの手に渡るのではないかなと思います。 そして彼の
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