todaka

私は変な特技がある。条件が揃えば、未来のことが、かなり具体的にわかるのだ。 この特技の使い方に気がついたのは90年代半ばごろ。コミックマーケットの会場で遭遇した漫画家に、何を書けば成功者になれるのかを提案して、それが上手く行ったのが発端。 私自身は業界の末端にいる、まさしくありふれたフリーライターに過ぎなかったが、この特技は強烈で、漫画はおろかライトノベルも一般小説もハリウッド映画も、正しい立案で成功に導くことができた。 ただし――まったくの異形の能力である。 私は予言めいた発言をするけれど、結果しかわからない。「原稿用紙に手を触れただけ」「顔をみただけ」で書き手の才能に気がつくほど鋭敏なのに、経緯は何も説明できないのである。 私の発言を「トリックに違いない」決めつける人は大勢いたけれど、結局は誰も私と同じことはできなかった。 2021年になって、私がかつて行った仕事の成果も見届けた。 だから、そろそろ私は自分のために行動しようと思う。 残念ながら、私の能力は、他人を成功に導くことはできても、自分を助けるには何の役にも立たない。 ここから先は、普通の人の普通の能力で立ち向かわなければならないだろう。
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