todaka

 先日、小説家の年収は200万円未満という話をしたのだけれど、これに少し関係のある余談があるので、ここに書く。  この業界にあこがれる人はとにかく数が多い。  収入に関して勘違いしている人も、当然のごとく、多い。  その結果、あまり望ましくない「副業」をしている人々が跋扈する。  その副業とは「詐欺」と呼ばれるものである。  ありがちな手口としては、作家志望者に声をかけ「君を出版社に売り込んであげる!」などと、甘い言葉をかけておいて、次に「そのために工作資金が必要だ! XX万円出して!」と要求する。  志望者が妙齢の女性だったら別の行為を要求してくる。  実にありふれた手口なんだけど、プロのライターや編集者であるにも関わらず、こういう手口で小遣いを稼ぐ人というのは実在する。  それはもう、うんざりするくらい、いる。  私の経験上、こういう不埒な輩を見かけて、犠牲者に向かって「騙されていますよ」といっても、だいたい徒労に終わってしまう。  なぜって、作家志望者はたいがい、自分の作品を誉めてもらっただけで舞い上がってしまうし、その誉め言葉が本当だと信じたいがために、詐欺師の言葉を信じてしまうのだ。  最悪、詐欺師の手口を暴いた方が悪者にされてしまう。  娯楽小説やドラマのように、悪人の嘘が暴かれ、被害者が目を覚まし、勧善懲悪という展開には、なかなかならないのだ。  私が、まだ詐欺師の餌食になっていない人に対して言える言葉があるとすれば、それはただ「気を付けろ」と、ただそれだけである。
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