幸せな価値を
ある理由で共同生活を送る男女の、人生の「分岐点」となる季節の物語。作者様の書き手としてのセンス際立つ、短いヒューマンストーリーです。 男性は自分の境遇に、女性は夢の虚像に運命を囚われ、社会人の「一歩手前」で足踏みをしていました。限界の淵が垣間見えた夏の頃、二人が諦めを感じつつ踠く現状を乗り越えようとした時、互いを慈しむ想いをどう扱うのか。 この物語は、それぞれに形も大きさも違う「幸せの価値」が、共に暮らす二人としての単位ならばどのようにそこに在るのか、それを教えてくれました。 読後、まるでうっすらと部屋に射す夕日のように、優しい幸せを感じました。素敵な短編小説。 久しぶりに読んだ小説が、この作品でよかったです。幸せな気持ちを、ありがとう。
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