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todaka
todaka
2021/4/14 3:26
世の中には、どうしようもないことがある。 「運命」とは陳腐な呼び方だけれど、長く生きていると、そうとしか思えない、人間の因果のようなものを感じることがある。 運命と呼ばれるものの本体は、実は、人間が持っている「夢」とか「希望」である。 誰だって、好きなものには近づこうとする。 嫌いなものからは遠ざかろうとする。 ある人が、何か希少価値のある特技をもっていたとする。 そして、その得技を活用できる仕事が好きで、そこに夢や希望を見いだせば、その人は幸福になれるだろう。 だが逆ならば―― つまり、自分の特技に自分で価値を発見できず、その特技を活用できない仕事を選んでしまえば、その人は不幸になるだろう。 そして、夢とか希望とかいうものは、しばしば、人間が自分の意思で選ぶことができない。 好きなものは「どうしようもなく好き」 嫌いなものは「どうしようもなく嫌い」 人間とはそうしたものではないだろうか。 もし人が、好きと嫌いを全部まるごと捨て去ることができたなら、人は運命から解放されるかもしれない。 しかしそれは、自分の存在を自分で否定するのと同じである。 だいたいの人はそれが不可能で、そして、運命の渦に巻き込まれていく。
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