祇光瞭咲

語られない部分にこそ魅力を感じました。
短いお話の中で、何度もハラハラしてしまいました。 作者さまのお話はまだ短編を2作読んだだけなのですが、淡々とした語り口が全体の空気感をうまくまとめて創り上げており、1ページ目からすぐ物語の世界に没入できるところが素晴らしいと思いました。 今回は兄の死という悲劇が背景にあるためか、どこか鬱蒼とした雰囲気を持ったお話でした。そのため、余計にこの物語の終わりも悲劇に結び付くんじゃないかと終始ハラハラしてしまったのだと思います。 物語の最後、1度目は「えっ唐突!」と思ったのですが、じっくり読み返してみると印象が変わりました。その真相は次の悲劇を予感させますが、ヴェロニカ嬢の笑いが読み手に「嗚呼、きっと大丈夫だ。お嬢様ならハッピーエンドに結び付けてくれる」という確信をもたらすようです。そのおかげで、読み手には結末は知らされないにもかかわらず、爽やかな読後感がありました。むしろ、語られないからこその充足感があるような気もします。実に巧い締め方だなと脱帽しました。
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かみのよいずひさ様 丁寧に感想いただいて、本当にありがとうございます……! 私にはもったいないお言葉ばかりで動揺しています。これまで短編はあまり書いたことがなく、このお話も不安が大きかったのですが、とても勇気づけられました。ありがとうございました!
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