YUKIMU

「大事なもの」を見つけた時に人は「明光」を得る。
前回はありがとうございました。 全体を通して無駄がない作品という印象でした。その上しっかり起伏のある物語になっていて、読み手の気持ちを高めたり鎮めたりする。少なくとも途中で飽きてしまうことはないと思います。 各人物にもしっかり血が通っていました。一部ですが、それぞれの第一印象を挙げていきます。 ルドガー:与えられた仕事を全うするしかないと考える堅物。 ランバルト:一癖も二癖もある偏屈な人物。 ロベール:権力を振るうことに慣れ過ぎて他者への敬意を忘れている。 フェンミル:高慢な小者。 エレーナ:存在自体が安心につながる人 人物としてはランバルトが最も魅力的でした。癖はあるものの優秀というのはよくある話でしょうが、それを派手な活躍ではなく他人を助けるために使うこと、その姿勢が一貫していたことが素晴らしい。ルドガーでなくてもこの人を慕って働きたくなるでしょう。 一方で多くの人がルドガーに感情移入すると思います。命じられた仕事を一生懸命にまっとうしようとして、自分にはそれしかないと考えて日々を生きるのは、多くの社会人の姿勢に通じるでしょう。だからこそ、権力に屈さずに自分の意見を主張したことが尊く見えます。 それはラストシーンでも同じです。人によってはルドガーは損しかしていないように見えるでしょう。私も最初は疑問でしたが、彼は人生を賭けてランバルトを慕ったのです。そうであれば自分にできる形でランバルトを助けてやりたいと思うのも自然だと思います。そうして自分の心に従ったことが、彼の「大事なもの」であり「明光」だったのでしょう。 また、この作品は魔法が登場します。作品によっては魔法の発動条件を細かく決めていることもありますが、この作品には当てはまりません。それを手抜きと見る向きがあるかもしれませんが、私は煩わしさがなくなって、ルドガーとランバルトの関係を読みやすくしていると思います。魔法にできないこととして心の病を治すこと、それゆえ身近にいる者の不調に気づけなかったという話の運びにも巧みさを感じました。 一つ要望としては、もっと政治劇を書き込んでほしかったです。やがて君主となる人であり、政治的な立ち回りにも長けているという話も出ているので、それが描写できていたらいっそうランバルトの優秀さが際立つと思います。 乱文失礼しました。読み合いをしていただき感謝しています。
1件・1件
感想ありがとうございます。 丁寧に読んでくださったのが文から伝わってきました。本当にありがとうございます。 ランバルトは物語の説得力のために魅力的であって欲しかったので、そのように感じていただけて良かったです。 政治的なシーンはもう少しあったのですが、主人公が絡まないので省いてしまいました。改稿することがあったら是非入れたいと思います。貴重な意見、感謝します。 今まで自分を大事にしてきた主人公が、ラストに自分以外の存在を大切にする行動をとることで、君主の息子の身分は得られなくてもそれに相応しい心根を得られたという、最後まで読まないと作品の題名の本当の意味が伝わらないという構成でした。 最後

/1ページ

1件