九崎冷水

結論から申し上げましょう。前提を飲めれば面白いです! 表紙の文章にもある通り、草(w)表現やネットスラングなどを本当に情け容赦も遠慮も無く自重せず使ってますので読む人を選びます、こんなにくどく言うほど使ってるってことなので、読む気になれない人には私も勧められません。本来この手の表現は正当な理由の明記でも無い限り小説においてはタブーですからね。   逆に言えば、それを受け入れられる人には問題なく推奨できます。  このテの界隈にありがちなラブコメものでは主人公は殴るに殴れない優男やイケメン聖人だったりなんで読者はどこか嫉妬に似たモヤモヤしたものを抱えながら爪を噛んで主人公の活躍を見ていなければならない。ところが、この小説の主役は内面欲望丸出しで気も小さく肝心なところを超えないヘタレ。遠慮なくくたばれと罵れますね。しかもその本性をうまいことごまかすポーカーフェイスがあるうえに無駄に能力は高いものだから周りが勘違いして各々勝手に「お前誰だよ!」っていう理想像を脳内に描き出しているところに「うっはこいつ勘違いしてるよ馬鹿じゃねーのw」と、現実との差に笑いながら読めます。    しかしながら、身を落ち着けた(居候した)後は何だかんだでこの主人公は出会う人々に幸せを、前に進む一歩を与えていっている。これが本人が狙ってやっているわけじゃあないってのが面白い。キャラクターそれぞれの異なる設定が、救われる形を違うものにして飽きのこない作りにしてるっていうところも好感度高いです。このパターン自体は前例わりとあるので目新しいとは言えませんが、ギャグ丸出しの台詞と裏腹に肝心なところは堅実に作られている作品であると思います。  欲を言えば彼一人で万事解決、ってパターンが続き、折角の個性あるキャラが初登場時をピークにどんどん空気化しているように見えるところですかね。しかしこの作品もまだ途中ですし、この点は今後の話の流れに期待させていただくことにします。今後も楽しみにしてますよ!

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