ミケ

全編、楓視点で読んでみたいと思わせる作品
序盤の期待感が一成が村を訪れてから一気に仄暗さと不気味さを増していく描写に引き込まれました。 確かに楓は底知れぬ恐ろしさがあり、 一成が楓に怯えながらも複雑な思いを抱いて一緒に暮らすといういわゆるハッピーエンドではところがいいと思います。 しかし一成という「都会から来た部外者」の視点で語られるために生じたサスペンス感なのかもしれません。村の悪習の被害者である楓からすれば、幼いころから劣悪な環境に置かれていて村での未来に何の希望も見出せない現状にあります。一刻も早くここから逃げ出したい、7歳の女の子はどうでもいいと思うのは、すでに壊れてしまった楓にとっては仕方のないことではないでしょうか。 一成は村を正しくすることにこだわりましたが、警察に通報したところではたしてそれはうまくいったのでしょうか。 ひどい環境から好きな人を救い出し、そして一緒に暮らすというのはBL作品に限らずロマンティックな要素です。しかし、皮肉にもあまりにも楓が受けてきた傷が深く、村と村人への憎しみが強かったために一成がその闇を受け止めきれなかったのがこの作品での不穏さのように感じます。どちらの視点でこの作品に感情移入するかで感じ方も変わってくるかもしれません。
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ミケ様ありがとうございます。 楓視点…そうですね、考えたことありませんでしたが、楓の立場から見ると何もかも違って見えるでしょうね。 深く読み込んでくださったようで嬉しいです。 ご感想ありがとうございました。
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