救われている
 街中の人から「ありがとう」と感謝される男。彼はなぜ感謝されるのかその理由の記憶は無く、このお話はその真相に行き着く日のエピソードを描いた短編ファンタジーです。  ファンタジー小説というと、主人公のヒロイックな行動や活劇を観るようなエキサイティングな描写に注目してしまいますが、この小説にはそんな要素は一切出てきません。  この物語の主人公は、自分の無くした記憶の断片を周りの人の「感謝」から感じ取り、ついに真相に辿り着きます。「どうして自分は感謝されるのか」。そのなぞなぞが解ける時、切なさや悲哀に満ちていた主人公が、ラストシーンでどう描かれているか。ぜひ本編を読んでもらいたいです。きっと、心がぎゅっと震える読後感を得られると思います。  けして教訓めいている訳ではありませんが、このお話に「何が正しくどう自然であればよいのか」を教えてもらったようです。個人的には、二度読んでもらうと見えてくる「切なさ」が増す気がしているので、再読をおすすめしたいです。  素敵な短編小説でした。
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レビュー、ありがとうございます。 私は何も教えてませんよー😊 とこさんが読み取られたことは、元々とこさんの中にあったのだと思います。 作者としては「物ごとの終わり」に際し、惰性で続けることなく、「終わらせる」ことを選ぶって、どういうことだろうか? という疑問を持った主人公の話だと思っています。 もちろん解釈は人それぞれ。 読者の皆様に、おまかせいたしますm(_ _)m
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