祇光瞭咲

ホラーとしても、リアルな人間を描いた作品としても面白い作品
あらすじに惹かれて何の気なしに読み始め、どんどんホラー度を増していく展開にいつの間にかのめり込んでいました。 本作は最近怪奇現象?が起きているライブバーが舞台となっており、「俺」の一人称視点で進行します。バイトの木村が店をやめる日、開店前にも関わらず一人の女性が訪れますが、彼女、どう見ても客ではありません。しかも、なぜ店を訪れたのか明かさないまま、誰もいない方を見たり、いきなり奇妙なことを言い出したり。ですが、頭のおかしい人という訳でもないのです。 彼女の目的は何だろう?とワクワクして読み進めるうち、「俺」の回想や木村との会話によって段々とこの店の過去がわかっていきます。また、名前は出てくるけれどもここにはいない女性の存在など、伏せられていたことも少しずつ明かされていきます。 ここの人物描写が実にリアル。作者さまは本当によく人間を、しかも人間の醜い面や弱い面をしっかりと見ている方だと思いました。圧倒的な筆力で読ませてくれるので、ホラーとしてだけでなく、ヒューマンドラマとしても楽しめます。 しかし、最後はしっかりホラー。本作には2つ山があり、1つめの山を越えた時少し油断してしまうでしょうが、怖さの本番はそれからです。 信頼できる語り手かと思っていた「俺」が隠し持っていたことが、いよいよ明るみに出てきます。このストーリー展開が本当に素晴らしく、じんわりと漂っていた違和感の正体がわかったとき、本当にゾッとしてしまいました。 余韻を残すラストも見事。綺麗に終わっているのですが、これはもしや続編があるのでは…?!ととても期待しています笑 これから本作を読まれる方には、是非視点主の「俺」の発言(?)に着目してほしいなと思います。 とても面白い作品をありがとうございました!次回作も期待しております。
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ありがとうございます! こんなにしっかりした深い感想をいただけるとは思っていなかったので驚くとともに、大変嬉しく思います。 また、次回作を公開した際にはよろしくお願いします!
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