けいたん氏の熱いメッセージ!
 けいたん氏の作品を読み始めてから数年になる。  その間にけいたん氏は、数多くの賞で入賞を果たして実績を積んできた。  私はけいたん氏が本職の作家として認められることを心から望んで、微力ながら応援してきた。  ただし最近では、けいたん氏自身は単純に本職の作家をめざすのではなく、小説サイトの作家として現在のスタンスを守り続けていくべきかもしれないと思うようになった。  それはけいたん氏の作品は単なるエンターテイメントではなく、作者のメッセージだと思うようになったからである。  この作品を読んで、特にその思いを強くした。  小学五年の女子が両親を追い出してまさかの結婚宣言。  小学生の女子が思いっきり背伸びするなかで、次第に大人の世界を知り成長していく。  この作品を一言でいえばそうなる。  凡百の作家なら小学生からの突然の結婚宣言に右往左往する大人たちをはじめ、周囲の人を巻きこんで起きるドタバタやラブコメに重点を置くだろう。最後は両親も仲良くなって帰ってきて、結婚宣言した相手ともお互い手を握り合ってハッピーエンド。  単純に児童向けのエンターテイメントをめざすなら、そういう展開になる。  だが氏はエンターテイメントではなく、問題提起の場としてこの作品に取り組んだ。  心身がまだ不安定な小学生の児童が男女関係を巡って様々な葛藤をする姿。  大人の世界が児童に与える影響。  そして一番力を入れて執筆しているのではと思うのは、まだ大人にはなっていない小学生の児童が自分たちを巡る苦い現実や矛盾を知り、苦しみや悲しみに襲われながらも一歩一歩成長していく姿である。  この作品は児童を巡る様々な問題に包括して向き合い、彼らがどう解決していくかについて、ひとつの筋道を示してくれる。  そして我々大人たちがどう児童に向き合っていくかについても数多くの示唆を与えてくれる。  ハッキリいってけいたん氏は不器用である。  この作品についていえば、ご都合主義だが読者が安心するエンターテイメントに進むのではない。  主人公を取り巻く厳しい現実をあますところなく描き、主人公が試行錯誤する姿を丁寧に描いていく。  未解決の問題も残り、ハッピーエンドではない。  それでもこの作品には、未来を信じる作者からの熱いメッセージがある。                               
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こんにちは(=^エ^=)けいたんです。 このたびは『蜂蜜色のフォーチュンクッキー』にすばらしいレビューをお寄せいただき感謝の気持ちを真っ先にお伝えしたくお返事しております。 この作品については倉橋さんのご推察どおり、不器用な私の欠点がよく現われていて、それはエンターテインメントという本来の目的を逸脱してまで書きたいことを掘り進めて行って、まだ目的地にたどりつけていないという未完結さながらの状況だということです。 読者の皆さまに「ああ、よかった」と安心していただけるような結末が用意できていないまま書き進めたことに対しては反省しきりではありますが、倉橋さんをはじめ多くの方に読んでいただけた、その事
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