りかりー

凛りんさん、お星さま応援ありがとうございます。 お礼にミニ話をプレゼント! 『七夕の夜に』 『5年後の夜に、この場所で』 そう約束したのは高校2年の夏。 七夕まつりの夜に、浴衣姿の君とふたり高台から天の川を見上げていた。 淡い恋心。 君を忘れられないまま、俺は大学4年になった。 ※※※ 「ねえ、流星。花絵たちが今夜の七夕まつり一緒に行かないかって」 ぼんやりと空を眺め、名前を呼ばれて振り返った。 「行かない」 「もう!そんな冷たい態度だったらいつまで経っても彼女できないからね!」 そう言って、幼馴染みは頬を膨らませた。 5年前の俺はメガネにボサボサ頭の根暗野郎だった。 中身は5年前と変わってないのに、コンタクトにした途端に周りの態度が変わった。 「別にいい。モテたいとも思わないし」 答えた俺に呆れ顔して幼馴染みは去っていった。 ※※※ 『流星くんは、みんなにも花にも優しいのわたし知ってるよ』 「優しくない。俺は」 『ううん、優しいよ。花壇で踏まれて折れた花を支えつけてあげてたでしょう?』 君の素直な声、笑顔も真っ直ぐで、俺の心にいつの間にか花のように咲いていた。 高校に入ってから同じクラスになった君。 誰にでも好かれる君はいつもみんなの輪の中にいた。 『わたしね、もうすぐみんなとお別れしなきゃならないんだ』 どうして? 『病気なの。この小さな町じゃ治療できないから引っ越すって』 病気……? 君は膝を抱えて小さく震えてた。 それを君は正直に打ち明けてくれた。 「いつ……?」 『七夕まつりの後に。……わたしみんなと離れたくないのに』 ポロポロとこぼれる涙が、君を引き寄せた俺を濡らした。 七夕まつりの夜が君に会える最後だと知った。 言わずにはいられなかった。 「七夕まつり、俺と一緒に行こう」 ※※※ 提灯の灯りの下、藍染め牡丹の浴衣の君はとても可愛いかった。 口下手で何も言えないでいる俺に君はくすくす笑った。 『よかった。似合ってるんだ』 出店を覗き、ふたりで食べ歩く。 いつの間にか手を繋いで、出店を抜けて街を見下ろす高台まで来てた。 花火がふたりが過ごす最後の時間。 赤や黄色の大輪の花が散ってく中で、生まれて初めてのキスをした。 『5年後、この場所で』 あれから5年。 君は一度もこの街に姿を現さなかった───
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りかりーさん、ありがとうございます。 七夕にピッタリのお話。5年たって、何かが起きそうな予感が。想像しちゃいます(笑)
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