【コメント】人はどうして道を誤るのか

意に誘われる砌─みぎり─

人はどうして道を誤るのか

凄惨な殺人事件を悼むヒロインに、恋人の別人格である維和が現れ、問題提起をするというお話。お恥ずかしながら元となったお話を存じ上げないので、「二重人格？　なんで！？」と冒頭から驚きの展開でした。読み進めて、成程。翔にそんな過去が……それはトラウマになりますね。ニュースで事件などを目にすると、「怖いなぁ」と思うばかりで、「何故そんな事件が起きてしまうのか」ということについて考えたことは、あまりないように感じます。それも、無関心の域に入るのでしょうか…… 維和の言う「感情が器から溢れなければ殺人は起きない」という言葉には、たしかに、と納得できる部分があります。人間には喜怒哀楽があるけれど、嬉しい感情や楽しい感情が溢れても、「人が変わってしまった」みたいな話は聞いたことがないですし。やっぱり、受けとめきれなかった負の感情から自分を守るために、新しい人格が生まれるものなんですかね……うーん、難しいけど深い。

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