はーこ

来歴表が示すものは
かつて世界を苦しめた魔法が、魔王の死後、人々の手によって暮らしを豊かにする魔機として技術化された国。 王立の新人技術局員であるシャルロットが純粋かつ意欲的です。フットワークが軽いので物語の展開もテンポよくスムーズですし、行く先々で目にしたもの、耳にしたものに純粋に驚いてくれるので、シャルと一緒に物語を追っているようで、独特な世界観も、新鮮な気持ちのまま読み進めることができました。 物語の鍵を握る凄腕の魔機修理の達人、アリアさん。彼女が仕事の度に記録している来歴表をシャルが覗き込もうとすると叱りつけていましたが、なぜ? という謎がとけたときは、なるほど。作品タイトルの深さがよく理解できました。人々の暮らしに根づいた魔機は、それを使う人の人生そのもの。他人が土足で踏み入ってはいけない宝物なんですね。 ロレッタちゃんからの依頼を受けたシャルはそのことを理解して間違いなく成長したでしょうし、厳しく当たってしまったことを激しく後悔するアリアさんも、とても温かみのある人なんだと好感が持てました。 アリアさんがはじめに紹介してくれたロザリンドちゃんやターニャさんも、濃いですが、素敵な人たちですね。お店でのやり取りが軽快で、見ていて楽しいです。登場キャラクターたちが本当に活き活きしています。アリアさんをはじめとした沢山の人たちに囲まれながら、シャルがこれからどんな風に立派な技術局員へと成長していくのか、必見です!
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