yuーchi

表現が美しい。
まず感じたのは文章がとても美しいという事です。 ファンタジーではないけれど心情を表す言葉が幻想的でとても印象に残りました。 二人の出会いは中学。変わった子と周りに思われていたけど清正くんはどんな時も傍にいて寄り添ってくれる。傍から特別な関係に見える二人は揶揄われる事もしばしば。純粋で何か気になる事があるとそこに集中する光くんは今のモノづくりという仕事に繋がっていくのかも。当時からその片鱗はあったように思います。そしてヘンな意味じゃないという清正くんからの告白。驚きますがその時感じた気持ちがどんなものだったのか当時はわからず名前を付けずに無かったものとして友達付き合いを続ける光くん。大人になり清正くんは結婚、離婚を経て、光くんはプロのデザイナーとして清正くんの愛娘、汀ちゃんと家族のように過ごすように。穏やかな日々の中、告げられた清正くんの想い。そして光くんは自分の中で閉じ込めてきた気持ちに「恋」という名を付けます。そこからは甘く官能的な時間が…とはいかず。 モノづくりの才能を発揮する光くんですがそれを妬む人物も出てきます。人の妬み嫉みって恐い。感情をコントロール出来ず人を傷つけたことにも気付かず。でもそこで負けない光くんに強い信念を感じました。仕事に対する真摯な態度は周りにも伝わっていてそれがあったからこそ解決出来たのかな。そしてそしてコンペのテーマである「恋」。堂上社長の洞察力に驚かされましたしそこで光くんに伝えた言葉が何とも素敵でした。 光くんの中で芽生えた恋がどんなものなのかとても楽しみだったのに汀ちゃんから知らされる衝撃の一言。やっと気持ちが通じ合ったのに。光くんの足元が崩れるようでした。名前を付けた気持ちはどこに行ってしまうのか。汀ちゃんの涙が更に悲しみを誘います。気持ちを整理出来ない光くん。そして汀ちゃんのとある行動。どうなってしまうのかとてもハラハラしました。この事がそれぞれの気持ちを動かします。光くん、清正くん、朱里さん、みんな苦しみましたね。たくさんの葛藤を経て漸く答えが出せたのかもしれません。清正くんの結婚、別れの経緯を聞いて彼も中学の時に心に蓋をしたのかあと感じました。 Under The Rose 、薔薇の下に隠した秘密の気持ち。それが今、薔薇の花と共に幸せに咲く事が出来たかな。 透明感のあるとても素敵なお話でしたしタイトルが秀逸ですね。
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読んでくださっただけでなく、素敵なレビューまで……! 本当にありがとうございます(*^^*)
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