鷹取 はるな

燻らせた紫煙の幕が今、上がる。
(以下、P1~6までを読んだ感想となります) 冒頭、本作品の主人公にして語り手でもある榊が運転しているのは乗用車ですが『呉越同舟』という言葉が思い浮かびました。 性格も能力も全く正反対な九条がどっしりと助手席へと居座り、敬愛する師匠である神川先生は後部座席で「舟を漕いで」いたからです。 依頼者の元へと向かう道すがらで主に語られるのは、車を運転しつつの榊の心の中の独白(モノローグ)でした。 神川先生についても触れられていますが、ほとんどは九条に関することでした。 その内容たるや徹頭徹尾、罵詈雑言、――いわゆる悪口ばかりでした。 榊の運転がけしておろそかにならないあたりからも実に慣れている、何時ものことだと考えられます。 ――まぁ、言葉の数と想いの深さとは必ずしも比例するものではありません。 そうは思いつつも、何とも引っ掛かりました。 特に私が印象に残ったのは目的地、依頼者の家が目前になり三人でタバコを喫う場面です。 昔、タヌキやキツネに化かされたと思った時にはタバコを喫っていたという話を聞いたことがあります。 場を仕切り直すと言おうか、――今で言うところの「気分転換」の意味合いがあったようです。 祓い屋を生業にする彼らが相対するのは、文字通り狐狸の類を含む妖霊の怪異です。 そう思うと師である神川と弟子である榊と九条とが皆揃いもそろって同じ銘柄のタバコを吹かす前述の場面は、何やら一種の儀式的めいても見えてきます。 タイトルにも記した様に、怪異除けの煙の向こうでは一体何が手ぐすねを引いて待っているのか――。 師弟の関わり合いとも含めて、続きが大いに気になるところです。
・2件
ありがとうございます!大変励みになりました!!本作は既に最後まで執筆しておりますので、自作以降の参考にさせていただきます。 想像力に頭が下がるばかりです。 本当にありがとうございました。
1件1件
そう言って頂けてありがたい限りです。 続きが大いに気になりますので、是非とも読まさせて頂きます。 楽しみです。 こちらこそ、感想を書かせて頂きありがとうございました<(_ _)>

/1ページ

1件