西 東

ずっしりとした始まり。
丁寧に描写される心情の移ろいが息苦しさを感じるくらいに素晴らしいです。 祖母の葬儀にあたって、家族を含めた周りの人々の行動に覚える一つ一つの感情はそれぞれ複雑に絡んでいて、またそこから相手の心を汲み取り、自身の心を推し量る綺麗事ばかりではない胸の内の吐露がなんとも言い難い。 けれど、分かるなあ……と思ってしまいます。 人の営みの翳りとも、蓋して隠しておくべき部分をつぶさに観察し推測していた語り手の彼女は優しい人なのだろうと思います。 祖母も、母も、彼女も、処世術はおんなじだったのではとも。 互いに波風立てない様にしていたから、素直さを忘れていたのではないかなと。 だから彼の素直さが救いの様になったのではと感じました。 ずれた感想ですが、大人になると泣きたい時に泣けなくなるのも辛いなぁとも思ってしまいました。
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西東さん いつも素敵なレビューをありがとうございます。 狭い檻の中をぐるぐる回っているクマのような内容のこんなお話に共感していただき、心からホッとしました。 祖母と母と私の処世術が同じと気づいていただき、とても嬉しいです。 そして実は、私と叔母の処世術も同じなのです。 つまり、多分、根本的には叔母も同じ系統の人間なんだろうと考えています。 母よりも小賢しく動けるのは、祖父母の家周辺や親戚の関係性が叔母のホームグラウンドだからなのです。 逆に嫁ぎ先では、小姑、旦那の親戚筋にキツいこと言われて悔し涙でも流しているのではないだろうか……などと考えながら組み立てました。 彼の素直さは、私の幸せ
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駒田さんへ 今晩は。 コメント有り難うございます。 嫁ぎ先では、受け身になりがちな女性ならではの処世術なのかなと思ってしまいました。 しがらみって面倒臭いものは、どうしたって付いて来ますからね。 何時もながら細やかな感情の描写が読み応えありました。 なおクマの喩えで、小学生の頃に猟師が捕まえて飼っていたツキノワグマを見物しに行った事を思い出しました。
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