砂礫零

人は短いが、芸術は永遠だ。
アンバランスな天才歌姫、百合亜。事件を起してオペラ業界から干されたが、再起をかけてミュージカル界に挑む。狙うはラ・ボエームの主演ミミ役。だが、主演争いに負けてしまう。 その晩、事件が起こる。主演を勝ち取った、あずさが何者かに殺されたのだ。犯人がはっきりしないまま、百合亜は主役としての稽古に励むことになるが…… 母娘の確執、1つの役にかける女優の思い、リアリティーのある演技の描写。 引き込まれる要素が満載です。 百合亜は最終、二度と再起できないほどの罪を負ってしまい、彼女を陥れた真犯人は主演を勝ち取ります。 ビターなエンドのように思えますが、役の主演など、長く歌いつがれるひとつの曲の命に比べれば、ほんの一瞬。 芸術の本質は、華々しい主演や大衆からの称賛とは別のところにあるのです。 百合亜は二度と舞台には立てない。しかし、苦しみ罪を犯して、この物語の登場人物の誰よりも芸術の本質に近いところにたどり着いたのだと思います。 しみじみと胸に響くラストでした。
1件・2件
砂礫零さま   この作品の底流にある本質を深く理解し、的確な表現で感想コメントをお寄せいただいたことに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
1件1件
どういたしまして! 面白かったです。
1件

/1ページ

1件