あーる

まるで映画を観ているような……不器用でもどかしい大人の恋物語
凛と澄んだ文章から脳内に流れ込む景色と沸き立つような臨場感あるライブ、撮影シーンに、まるで映画を鑑賞しているような気持ちになりました。 性格が真反対で第一印象は最悪。けれどそれは相手を意識するには効果的な作用でもあって…自分が持ちえないものに無意識に惹かれていくさまに恋の予感が高まります。 強くて脆くて、奔放でいて繊細。孤高さと人懐こさを併せ持つ沓見さん。表現者として人を惹き付ける彼には伊能さんだけでなく読者も魅了されていきました。 『ほたる火』では、我を通さない物わかりの良い大人な伊能さん。そんな彼が沓見さんの言動に振り回され、戸惑い悩みながら自分の中に押し込めたままだった“執着”という感情と向き合っていく。もっと欲張りでいいんだよ…と何度も心の中で囁き、彼の中で育つ恋を応援しました。 反発し合いながら、いつしかその存在が自分の中で大きくなる。それと共に立ちはだかる立場や外聞。想いは募れどままならない…そんなリアルでドラマチックな展開にますます物語へと引き込まれました。 『響』という名に纏わるエピソードにも作者様の想いを感じ、いく度も感動のため息が出ました。 特別なひとにしか呼ばせない名。先代住職との間で交わされる名の由来について。彼らが互いにその名を呼ぶとき。その響きに尊さが募ります。 作者様の作品の中でもこの作品は特に“艶”を感じます。それは表立ったものではなく、タイトルように微かに、耳をすませば感じられるような…演技も音楽も然り、魂を擦り合わせて奏でた形のない音を伝えるような仕事をしている彼らの物語だからなのでしょうか…その漂う空気感に包まれる時間がとても心地よく感じました。 常連メンバー(笑)や監督と八雲さん。もどかしい二人を導いてくれる大切な彼らの存在も魅力的で。特に楢橋監督の食えなさ(笑)と、その監督に振り回されつつ操縦している感の八雲さんに感じる絆も素敵でした。 こうした彼らの息づかいを感じられる描写が物語の奥行と深みを感じさせてくれるのでしょうね。 作中の映画のストーリーもとても気になります。原作を読みたいと思ってしまうほどです! 執着を抱くほど愛しく思うパートナーと巡りあえた伊能さん。 素のままいられるよすがをみつけられた沓見さん。 エンディングに、そんな彼らに客席からおしみない拍手を送っている自分を感じたとても素敵なお話でした!
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あーるさーん!!!(≧∇≦*) 完結から早1か月、悲しいけれどそろそろ皆さまの記憶から この作品の存在が消えつつあるんだろうなあと 思っていた矢先の初レビュー、本当にありがとうございます! あまりに嬉しすぎて、いただいてから 何度も何度も読み返してしまいました。←今ここ(笑) あーるさんには、特に連載中から伊能と沓見、 ふたりをずっと心配し、温かく見守り続けてくださったこと、 彼らの産みの親として改めて感謝の念に堪えません。 実は私自身、この作品を書き始めてからもしばらくの間は 彼らの性格が掴みきれず、まさに手探りしつつの状態という 何とも頼りないことこの上ない有様でした(^◇^;) 特に
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